おぐらやま農場は、無肥料栽培に取り組んでいます。
広大な北アルプス山域に降り注ぐ雨や雪は、
森の中のせせらぎに集まり、川になります。
そして大地に染み込み岩石に触れながら、
長い時間をかけて地下深く潜り込み、
やがて湧水として地上に湧き出します。
北アルプス山麓に広がる安曇野は全国にも知られる名水の里です。
その清流と湧水を子々孫々まで護っていくために、
安曇野地域で一番問題になっているのが、
農地に使われる窒素肥料です。
肥料を施すことで農産物が生長しよい収穫が得られるというのは、
長い間当たり前になっている農業現場の常識なのですが、
そのことが自然環境に大きな影響を及ぼしています。
安曇野市は地下水を汲み上げて水道水源としている
井戸数十か所の「硝酸態窒素濃度」を毎月測定しているのですが、
場所によっては年々濃度が上がり、
水質基準値近くまでになっている地区も出始めていると聞きます。
この地で新規就農して数年後にその現状を知った時、
農業が環境破壊をしないためにどうすればよいのか、
考えざるを得ませんでした。
無肥料栽培がなぜ必要なのか
しかし、窒素肥料栽培には明らかに影響を及ぼす項目が多く、
<自然環境へのダメージとして>
*地下水汚染の主原因。
*亜酸化窒素発生による大気温暖化、オゾン層破壊。
<人体への影響として>
*硝酸態窒素は体内で発がん物質であるニトロソアミンに変化する。
*血中で酸素運搬を担うヘモグロビン(赤血球)がメトヘモグロビンに変化し酸素運搬能力を失う
<農作物への影響として>
*植物ホルモンのアンバランス。
ジベレリンが活性化し作物が旺盛に生長、
反対に病虫害耐性のエチレン、
糖度を上げるアブシジン酸が低下することで、
農薬依存と食味低下を引き起こす。
窒素分が苦味・渋みの原因なので、食味が悪い。
*硝酸態窒素は植物内でアンモニアに変化し、
それを餌にする虫の食害を受ける。
*窒素濃度が上がると植物体の中で、
相対的に細胞の骨格となるCa欠乏状態となり、
細胞壊死を起こす。
*細菌やウイルスの侵入を容易に許し、
様々な病気を発生させる。
*細胞壊死の起こっている農産物は保存性が悪く、
長期保管できない。
冷蔵庫へ入れても野菜などがトロけてしまう症状。
<農地への影響として>
*長年散布され続けた肥料分は、
地下40センチ当たりで蓄積し、
水も空気も通さない「硬盤層」を形成。
長雨時は根が水没し、
日照り時は土中深部からの水分移動ができないために水分不足。
環境変化の影響を受けやすい農地となる。
上記のように様々な問題を引き起こす可能性があり、
まず第一に「無肥料栽培」をどうやって実現していくかという
課題に取り組むことが最優先と位置付けて、農場の営農指針としています。
私たちの農産物はほぼ100パーセントが産地直送の直接販売です
大量生産・大量流通・大量消費の時代の流れを逆行しているかも知れませんが、
農産物の内容に価値を生み出し、
それを理解してくださる方に一箱一箱、
農場直送でお届けしていきたいと思います。
食味や栽培過程にこれまでのものと一線を画す自負もありますが、
価格帯はここでがんばります。農場を始めたときから目指してきた形が、
中間バイヤーを通さずお客様にダイレクトに届ける、
評価も直に受け止められるこの形です。
お客様から直接いただく声は、
自分たちの課題や喜びに直結できる形でもあります。
ここまで多くの方に応援いただけたことに感謝しています。
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